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近年、食事の軟食化のために、咀嚼不足がおこっています。成長期の子供にとって咀嚼回数の低下は、顎骨の発育を不良として歯列不正の大きな原因となります。食物の摂取は乳幼児期の授乳から始まり、離乳の段階を経てほぼ完成されます。しかしその後も成長に応じて正しい咀嚼習慣を身に付けることが大切です。

 良く噛むことにより、唾液の分泌が促進され、消化作用、自浄作用、味覚の発達などが向上されます。また良く噛むことは、咀嚼筋群、表情筋群の発育や情緒の安定にもつながり、心身の総合的な発育に大きな役割を果たします。加工された軟性食品が多く入り込んできた現代の豊かな(?)食事環境を見直す一方、子供達にも噛むことの重要性を理解させる必要があります。例えば、カルシュウムが多く含まれる小魚や牛乳などの必要性を理解して、さらに良く噛んで食べる事を習慣化させることが健康な食生活の基本となります。

 高齢者・寝たきり老人にとても、“噛むこと”は重要です。老人性痴呆防止の為にも、食事のメニューに気を付け、規則正しい食習慣を守りましょう。


 

“よく噛む”ことの全身への影響
1.最大のメリットは唾液の分泌を促すことです。唾液は一日に1500cc程度分泌され、消化や清掃を良くします。
2.唾液中にはリゾチーム、ラクトペルオキシターゼ、IgA(免疫抗体)などの感染予防物質が存在し、疾病の予防、健康増進に役立ちます。
3.時間をかけて食事すると、血糖値が高まり、満腹中枢を刺激します。その結果、過食・肥満を予防します。脳軟化症などの“ボケ老人”が絶えず食べたがるのは、満腹中枢が機能しないためです。
4.食物の味物質を溶出し、味覚を感じ食欲を増進し、心理的満足感、情緒的豊かさを感じます。
5.脳の循環血液量が増加し(ポジトロンCTによる)、知的発達を促進し、老化の予防(ボケ防止)となります。噛んだ刺激は末梢の神経を通して脳を刺激します。鈍化した脳の働きを目覚めさせる効果が期待されます。
6.よく噛むことにより、咀嚼の自浄作用が高まります。野菜や果物などの繊維性食品を食べることにより、機械的作用が働き、歯面清掃効果が良くなります。


 

“噛まない”ことの口腔への影響
1.咀嚼筋の活動が低下するために、顎骨の発育が悪く、歯列不正をおこします。
2.唾液の分泌が悪くなり、清掃性が低下するため、齲蝕(虫歯)や歯周疾患を発生させます。
3.抵抗力、耐性の低下により顎関節症の誘因となります。
4.普段、噛みごたえする食物を“噛まない”と、咀嚼力は低下し“噛めなく”なります。

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